「万里の長城ってどのくらい長いの?」——名前は知っていても、実際の全長を正確に答えられる方は少ないのではないでしょうか。「万里」という名前から「長い」とはわかっていても、具体的なスケール感はなかなかイメージしにくいですよね。
結論から言うと、歴代王朝が建設した長城の総延長は21,196km以上で、現在も残っている長城だけでも6,352kmにのぼります。これは日本列島をぐるりと囲めるほどの距離です。
この記事では、万里の長城の全長データ・建設の歴史・北京から訪れやすい観光エリア・ベストシーズン・訪問準備まで、まとめて解説します。
万里の長城とはどんな建築物か?基本情報を理解する

ユネスコ世界文化遺産に登録された人類史上最大の建築物
万里の長城は、中国北部に築かれた人類史上最大規模の防衛建築物です。数千年にわたって複数の王朝が建設・修復・増築を繰り返した結果、現在のような膨大な規模となりました。
1987年登録・ギネス世界記録にも認定されている理由
万里の長城は1987年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。その歴史的・文化的価値の高さはもちろん、建造物の規模そのものがギネス世界記録にも認定されています。ひとつの建造物としての延長距離が世界最長であることが、その理由です。
日本からのアクセスと基本的な渡航情報
飛行機で約4時間・北京から2時間で観光エリアに到達できる
日本からは北京首都国際空港または北京大興国際空港への直行便が利用でき、フライト時間は約3〜4時間です。北京市内から主要な観光エリアへは、路線バス・専用シャトルバス・タクシーなどでおおよそ1〜2時間でアクセスできます。
| 観光エリア | 北京市内からの所要時間 | アクセス手段 |
|---|---|---|
| 八達嶺長城 | 約1〜1.5時間 | 高速鉄道・バス |
| 慕田峪長城 | 約1.5〜2時間 | バス・タクシー |
| 箭扣長城 | 約2〜2.5時間 | 車・タクシー |
万里の長城の長さはどれくらい?全長データを徹底解説

総延長21,196.18km — 全時代の長城を合計した公式数値
万里の長城の全長については、長年「6,000km」「8,850km」など諸説ありましたが、正式な公式数値として現在広く引用されているのは21,196.18kmです。
2012年に中国国家文物局が初めて公式発表した歴史的意義
この数値は、2012年に中国国家文物局が大規模な実地調査を経て初めて公式発表したものです。それ以前は断片的な調査に基づく推計値しか存在せず、正確な全長は長い間不明のままでした。GPS・衛星測量・現地踏査を組み合わせた調査によって、初めて信頼性の高い数値が得られました。
現存しない部分も含む「歴代王朝すべての長城」の合算値
21,196.18kmという数値は、春秋時代から明の時代まで歴代の王朝が建設したすべての長城を合算したものです。現在は失われて跡形もない部分・土台のみが残る部分も含まれており、「現在見られる長城だけの長さ」とは異なります。
現在残っている長城の長さは6,352km
現存する長城の長さは6,352kmとされています。これは東京から約6,350km離れたオーストラリア・シドニーまでの直線距離に近く、日本列島全体(北海道〜沖縄)をぐるりと囲めるほどの距離に相当します。
日本列島をぐるりと囲める距離に相当するスケール感
日本列島の総延長は南北に約3,000km程度と言われています。現存する長城6,352kmは、日本列島を2周以上できる距離というイメージで考えると、そのスケールの大きさが実感しやすくなります。
二重・三重になっている箇所が存在する理由
長城が二重・三重になっている箇所がある理由は、異なる王朝がそれぞれ独自の防衛ラインを構築したためです。旧来の長城を修復・利用しながら新たな長城を並行して建設した結果、一部のエリアでは複数の長城が平行して走っています。
最西端「嘉峪関」から最東端「山海関」まで
中国北部を大きく横断する6,000km以上の壮大な規模
明代に整備された長城の主要な部分は、西端の嘉峪関(現甘粛省)から東端の山海関(現河北省)まで延びています。中国北部の砂漠・草原・山岳地帯を横断するその規模は、まさに壮大という言葉しか見当たりません。
万里の長城の全長データについて詳しくは、世界遺産マニアの万里の長城解説ページも参考になります。
万里の長城はいつ・誰が・何のために建てたのか?歴史を3段階で解説

春秋時代 — 各小国が築いた点在する防御壁が起源
万里の長城の起源は、今から約2,500年前の春秋戦国時代(紀元前7世紀〜紀元前3世紀頃)にさかのぼります。当時の中国は多くの小国が乱立しており、各国がそれぞれ隣国や北方の遊牧民族からの侵攻を防ぐために防御壁を建設しました。
一本につながっておらず「壁」が点在していた時代の背景
この時代の長城は現在のような一本のラインではなく、各国が独立して建設した断片的な壁が各地に点在している状態でした。現在の「万里の長城」のイメージとはまったく異なる、バラバラな防御施設の集合体です。
秦の時代 — ばらばらの城壁を統一・一本の防御線として再整備
紀元前221年に中国を統一した秦の始皇帝は、バラバラに存在していた各国の長城を連結・統合し、一本の防衛ラインとして整備しました。これが「万里の長城」の原型と言われています。
北方遊牧民の南下防止とシルクロード貿易保護が建設目的
秦代の長城建設の主な目的は2つです。
- 北方遊牧民(匈奴)の南下を防ぐ軍事的防衛ライン
- シルクロード貿易ルートを保護し、経済的利益を守る
秦代の長城建設には多くの農民・兵士が強制的に動員され、過酷な労働環境の中で多数の犠牲者が出たとも言われています。
明の時代 — 現在の観光地として知られる長城が再構築される
現在、観光地として訪れることができる長城の大部分は、明の時代(1368年〜1644年)に建設・整備されたものです。秦や漢の時代の長城は主に土で作られていたのに対し、明代の長城は石やレンガを多用した頑丈な造りが特徴です。
石・レンガで頑丈に建設された明代長城が現存エリアの大部分を占める理由
土造りの長城は風雨によって経年劣化しやすいのに対し、石・レンガ造りの明代長城は耐久性が高く、数百年後の現在でも多くの部分が比較的良好な状態で残っています。この耐久性の差が、現存エリアのほとんどが明代のものである理由です。
万里の長城の歴史についてさらに詳しく知りたい方は、World Heritage Siteの万里の長城解説ページも参考になります。
北京から訪れやすい万里の長城観光エリア3選

八達嶺長城 — 最も有名な定番観光エリア
八達嶺長城は北京から最もアクセスしやすく、世界中から年間数百万人の観光客が訪れる最定番エリアです。1957年に一般公開され、マオ・ツェトン・ニクソン元大統領・鄧小平など多くの著名人も訪問した歴史があります。
全長約3.7km・南北2ルートの難易度の違いと博物館・360度映像スクリーン
- 南ルート:全長約1.6km・比較的緩やかで初心者向け
- 北ルート:全長約2.1km・急な傾斜が続き体力を要する上級者向け
- 博物館・360度映像スクリーン:長城の歴史・建設過程を映像と展示で学べる施設が隣接
混雑しやすいためオンラインチケット事前購入が推奨される理由
八達嶺長城は特に週末・連休・観光シーズンには大変混雑します。注意:現地窓口では入場制限がかかることもあるため、公式サイトまたは旅行会社経由でのオンライン事前予約が強く推奨されます。
慕田峪長城 — 保存状態が良く秋の紅葉が美しい自然派エリア
慕田峪長城は八達嶺から東側に約30kmの場所に位置し、長城の保存状態が非常に良く、周囲の山々と調和した美しい景観が魅力のエリアです。八達嶺ほど混雑しておらず、ゆったりと観光したい方に人気があります。
ロープウェイで体力に自信がない人でも楽しめる理由
慕田峪にはロープウェイが設置されており、体力に自信がない方・高齢の方・小さなお子様連れの家族でも長城の上まで楽にアクセスできます。滑り台で下山するユニークな体験コースも人気です。
秋の訪問に最適なベストシーズンとの相性
慕田峪は周囲の山林が紅葉する9月末から10月にかけて特に美しい景観を見せます。赤・オレンジ・黄色に染まる山々と長城のコントラストは、このエリアでしか見られない絶景です。
箭扣長城 — 未整備の「野長城」として荒々しい景観が楽しめるエリア
箭扣長城は整備された観光地ではなく、「野長城(未整備の自然のままの長城)」として知られるエリアです。修復されていない崩れかけた城壁・急峻な山稜の上に続く長城の荒々しい景観は、整備された観光地では味わえない独特の迫力があります。
登山禁止で遠望のみ — 整備された観光地とは異なる迫力の魅力
現在、箭扣長城は修復工事・安全管理の観点から城壁への登頂が禁止されているエリアがあります。遠望ポイントからその荒々しい景観を楽しむスタイルが基本ですが、それでも長城写真愛好家・フォトグラファーに非常に人気のエリアです。
各観光エリアの詳細は、VELTRAの万里の長城観光ガイドも参考にしてみてください。
万里の長城を訪れるベストシーズンと避けたい時期
ベストシーズンは9月末〜10月上旬 — 気候・景観・混雑のバランスが最良
万里の長城を訪れるのに最も適した時期は、9月末から10月上旬です。気温が20〜25℃程度で過ごしやすく、空気が澄んで景観を遠くまで楽しめます。
紅葉と快適な気温が重なる9月末頃が特におすすめな理由
慕田峪などの山林エリアでは9月末から紅葉が始まり、快適な気温・澄んだ空気・美しい紅葉の3つが重なるこの時期が最良のタイミングです。ただし中国の国慶節(10月1〜7日)は国内旅行者が急増し非常に混雑するため、できれば国慶節前の9月末が特におすすめです。
春・夏・冬に観光を避けるべき理由
春は黄砂で視界が悪化・夏は熱中症リスク・冬は路面凍結の危険
| 季節 | 主なリスク・注意点 |
|---|---|
| 春(3〜5月) | 黄砂による視界悪化・花粉・気温差が大きい |
| 夏(6〜8月) | 35℃超の猛暑・熱中症リスク・雷雨・紫外線が強い |
| 冬(11〜2月) | 路面凍結・急な降雪・強風・非常に寒い(-10℃以下も) |
混雑を避けるためのコツ — 平日の早朝訪問が最も効果的
観光シーズン中に混雑を避けるには、平日の早朝(開門直後の8〜9時台)に訪れるのが最も効果的です。午前中の早い時間帯は観光客が少なく、ゆっくり歩いて景観を楽しめます。
朝日が差し込む幻想的な風景に出会えるメリット
早朝の長城は、朝日が城壁に差し込む幻想的な光景が楽しめます。人が少ない分、写真撮影にも最適な時間帯です。開門時間は季節によって変わるため、訪問前に公式サイトで確認しましょう。
万里の長城を快適に観光するための準備と注意点
服装と装備は軽登山に近い環境を想定して準備する
万里の長城の城壁は急な傾斜・凹凸のある石畳・長い階段の連続です。軽登山に近いコンディションを想定した準備が必要です。
スニーカー・動きやすい服装・帽子が必須な理由
- 履物:グリップ力のあるスニーカー必須。ヒールやサンダルは転倒リスクがあり絶対に不可
- 服装:動きやすいズボン・吸汗速乾素材がおすすめ。春秋は重ね着できる構成で
- 帽子:日差しが強く、直射日光を避けるためにブリム広めの帽子が有効
バスツアーなど時間制限がある場合の観光範囲の決め方
バスツアーや半日ツアーで訪問する場合は自由時間が限られます。ルートの全区間を歩こうとせず、入口から最初の城楼(物見台)まで往復するプランが現実的です。無理な遠征は帰りの時間に影響するため、事前にどこまで歩くかを決めておきましょう。
季節ごとの気候に合わせた持ち物の準備
夏の水分補給・紫外線対策と冬の滑りにくい靴・防寒具
| 季節 | 必携アイテム |
|---|---|
| 春・秋(ベストシーズン) | 上着・折り畳み傘・日焼け止め・水分補給用ボトル |
| 夏 | 大量の水分・塩分補給グッズ・日焼け止めSPF50以上・帽子・冷感タオル |
| 冬 | 滑り止め付き防水ブーツ・厚手ダウン・手袋・ニット帽・ホカロン |
現地売店は観光地価格で割高なため事前に飲料を準備すべき理由
八達嶺・慕田峪などの主要観光エリアには売店がありますが、水・軽食などは通常価格の2〜3倍程度の観光地価格が設定されていることがほとんどです。特に夏場は大量の水が必要になるため、北京市内のコンビニや売店で事前購入しておくことを強くおすすめします。
チケット購入と支払い方法の事前確認
八達嶺など人気エリアのオンライン事前予約推奨と電子決済の準備
- チケット:八達嶺は公式サイトまたは旅行代理店経由でのオンライン予約が推奨。現地売り切れ・入場制限のリスクを避けられる
- 支払い:中国国内ではWeChat Pay・Alipayなどの電子決済が主流。外国人向けに一部クレジットカードが使える場所もあるが、事前に確認が必要
- 現金:電子決済に対応していない場所に備えて人民元の現金も多少持参しておくと安心
チケット購入と観光エリアの最新情報は、China Highlightsの万里の長城観光ガイドで確認できます。
万里の長城の長さ — まとめと訪問前に知っておきたいポイント整理
全長データ・歴史・観光エリアの3点を一覧で振り返る
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総延長(全時代合計) | 21,196.18km(2012年中国国家文物局公式発表) |
| 現存する長城の長さ | 約6,352km |
| 建設の起源 | 春秋戦国時代(約2,500年前) |
| 主要な整備時代 | 秦の時代(統一)・明の時代(現存部分の大半) |
| 主要観光エリア | 八達嶺・慕田峪・箭扣(北京近郊) |
| ベストシーズン | 9月末〜10月上旬(国慶節前) |
| ユネスコ登録年 | 1987年 |
訪問前の計画を立てるための最終チェックリスト
- 訪問エリアを決める:初心者・観光重視なら八達嶺、自然・紅葉重視なら慕田峪、写真・独自体験なら箭扣
- チケットを事前購入する:特に八達嶺は混雑シーズンに入場制限がかかることがあるため必須
- 服装・装備を確認する:グリップ力のあるスニーカー・動きやすい服装・帽子は必須
- 飲料・軽食を事前購入する:現地売店は高価格のため北京市内で調達する
- 電子決済の準備をする:WeChat PayまたはAlipayが使えると現地での支払いがスムーズ
- 天気予報を当日朝に確認する:黄砂・雨・急な気温変化に備える
万里の長城は、数千年の歴史が積み重なった人類最大の建造物です。その全長と歴史のスケールを理解した上で訪れると、目の前に広がる長城の景観がさらに感慨深いものになるはずです。ぜひこの記事を参考に、訪問前の計画をしっかり立ててみてください。
