海外旅行や留学を考えるとき、「治安は大丈夫だろうか」という不安は誰もが感じることですよね。特に初めての海外や一人旅では、安全な国を選ぶことが旅の満足度に直結します。
この記事では、世界平和度指数(GPI)2025年版をもとに、治安のいい国トップ10の特徴・日本の順位と背景・旅行先を選ぶための実践ポイントまで、わかりやすく解説します。
※ランキングデータは世界平和度指数(Global Peace Index)2025年版の発表情報をもとにしています。最新の治安情報は必ず外務省の海外安全ホームページでご確認ください。
治安のいい国はどうやって決まる?評価指標の基礎知識

世界平和度指数(GPI)とは何か
世界平和度指数(GPI)とは、各国の平和度・安全度を数値化した国際指標です。毎年公表されており、海外旅行・留学・移住先を検討する際の信頼性の高い参考情報として広く活用されています。
オーストラリアのシンクタンク「経済・平和研究所(IEP)」が毎年発表する国際指標
GPIは、オーストラリアに本部を置く独立系シンクタンク「経済・平和研究所(Institute for Economics and Peace / IEP)」が2008年から毎年発表しています。政治的に中立な立場から客観的なデータを集計・分析しており、国際機関や報道機関でも広く引用されています。
163カ国を対象に23の指標から算出される仕組み
2025年版では世界163カ国・地域を対象に、合計23の定量・定性指標を組み合わせてスコアを算出します。スコアが低いほど平和度・安全度が高いと評価されます。
平和状態を測る3つの評価領域
① 社会の安全と治安(犯罪・テロ・政治的不安定性など10項目)
国内の犯罪発生率・テロリスクの有無・政治的暴力の頻度・難民・国内避難民の数などが評価されます。旅行者にとって最も直接的に関わる領域です。
② 国内および国際的な紛争(近隣国との関係・紛争の数など6項目)
近隣国との外交関係・領土紛争・国際的な武力衝突への関与度などが評価されます。地政学的なリスクが高い地域では、この領域のスコアが低くなります。
③ 軍事化の度合い(軍事支出・兵器の輸出入など7項目)
GDPに占める軍事支出の割合・兵器の輸出入量・兵員数などが評価されます。軍拡を進める国はこの領域のスコアが下がり、総合順位にも影響します。
GPIが信頼性の高い指標とされる理由
GPIは世界銀行・国連・各国政府の統計など、複数の独立した公的データを組み合わせて算出されています。特定の政府や企業の意向に左右されない独立シンクタンクが運営しており、学術論文・国際報道・政策立案の場でも広く参照されています。
2025年版・治安のいい国ランキングトップ10

1位 アイスランド — 15年以上世界トップを維持する最安全国
アイスランドは2008年のGPI発表開始以来、ほぼ毎年1位を獲得し続けている世界最安全の国です。人口約37万人という小さな国ながら、高い市民意識・社会的な信頼・政治的安定が極めて高いレベルで維持されています。
警察官が銃を持たない社会の安定と女性一人旅にも人気の理由
アイスランドの警察官は原則として銃を携行しません。それでも犯罪発生率は世界最低水準に保たれており、女性の一人旅や深夜の外出も比較的安全と言われています。ジェンダー平等指数でも世界トップクラスで、女性にとっても安心して訪問できる国として知られています。
2位 アイルランド — 経済・教育水準の高さが治安を支える
アイルランドはEU加盟国の中でも経済成長率が高く、教育水準・医療体制・社会インフラが充実しています。テロ・武力衝突のリスクが低く、政治的にも安定しています。
温厚で親切な国民性とダブリンの魅力
アイルランドの人々は「フレンドリーで親切」という評判が高く、旅行者からの満足度も高い傾向があります。首都ダブリンは歴史的な街並みと活気あるパブ文化が融合した人気の観光都市です。
3位 オーストリア — 文化・観光と安全が共存するヨーロッパの中心
ウィーンを首都とするオーストリアは、クラシック音楽・美術・歴史建築など豊かな文化遺産と高い安全性を兼ね備えた国です。ウィーンは「世界で最も住みやすい都市」のひとつとして毎年上位にランクインしています。
公共交通・医療体制が高評価を得た理由
オーストリアは公共交通機関の整備が充実しており、観光客でも移動しやすい環境が整っています。医療水準も非常に高く、万が一の体調不良時にも安心できる体制が整っています。
4位 ニュージーランド — 自然とフレンドリーさが魅力の英語圏
ニュージーランドは雄大な自然景観・アウトドアアクティビティ・先住民族マオリの文化が魅力の英語圏国家です。治安の良さと英語が通じる安心感から、日本人の留学先・ワーキングホリデー先として人気が高い国のひとつです。
英語が通じる安心感とアウトドア派に人気の旅先
言語の壁が少ない英語圏であることは、海外経験の少ない旅行者や留学生にとって大きな安心感になります。ハイキング・バンジージャンプ・スキーなどアウトドアアクティビティも充実しています。
5位 シンガポール — アジアで唯一トップ5入りした経済都市国家
シンガポールはアジア地域で唯一、GPI上位5位以内に継続してランクインしている都市国家です。厳格な法律・高い市民意識・多民族が共存する社会的安定が評価されています。
厳格な法律と清潔な街が初めての海外旅行に適している理由
ガムの持ち込み規制・ポイ捨て厳禁など厳格なルールで知られるシンガポールは、その結果として街の清潔さと治安の良さを高水準で維持しています。アジアへの初めての海外旅行先としても非常に人気があります。
6位 スイス — 永世中立国が生む高い安全性と社会インフラ
スイスは長年にわたる永世中立政策を維持しており、国際的な武力衝突への関与がほとんどありません。高い生活水準・充実した社会制度・自然の美しさが組み合わさった人気の観光地です。
腐敗・汚職の少ない政治体制と犯罪リスクの低さ
スイスは国際的な腐敗認識指数でも上位に位置し、政治・行政への市民の信頼が高い国です。犯罪発生率も低水準に保たれており、旅行者が安心して観光できる環境が整っています。
7位 ポルトガル — 物価が安く温暖な気候で人気急上昇中の国
ポルトガルはヨーロッパの中でも物価が比較的低く、温暖な地中海性気候と歴史的な街並みが魅力で、近年旅行先・移住先として世界的に注目を集めています。テロ・紛争リスクが低く、社会的に安定した環境が評価されています。
8位 デンマーク — 幸福度ランキング上位の北欧先進国
デンマークは国連の世界幸福度報告でも常に上位にランクインする北欧の先進国です。充実した社会保障・教育制度・市民の政府に対する高い信頼が治安の良さを支えています。
深夜でも安全に歩けるレベルの治安と充実した社会制度
コペンハーゲン市内は深夜でも安全に歩ける環境が整っているとされ、旅行者からの評判も高い都市です。自転車文化が根付いており、エコで便利な移動手段も旅行者に人気です。
9位 スロベニア — テロ・暴力事件リスクが極めて少ない穴場
スロベニアは中央ヨーロッパに位置する小国で、テロ・武力衝突のリスクが非常に低く、犯罪発生率も抑えられています。観光地としてはまだ知名度が高くない分、混雑が少なく自然豊かな景観をゆっくり楽しめる穴場的な魅力があります。
欧州旅行初心者にも安心なその理由
首都リュブリャナはコンパクトで歩きやすく、観光スポットが市内中心部に集中しています。英語が広く通じ、物価もヨーロッパの中では比較的リーズナブルなため、欧州旅行の初心者にも入りやすい国です。
10位 マレーシア — 英語が通じるアジアの旅行しやすい国
マレーシアはアジア圏において英語が広く通じ、多民族・多文化が共存する比較的安定した社会環境が評価されています。日本からのアクセスも良く、食文化の豊かさも人気の理由のひとつです。
クアラルンプール・ペナンなど都市部の治安安定と注意すべきこと
クアラルンプールやペナンなどの主要都市は観光インフラが整備されており、比較的安全に旅行できます。ただしスリ・ひったくりなどの軽犯罪には注意が必要で、人混みでの貴重品管理は徹底しましょう。
GPIランキングの詳細については、Business Insider Japanの2025年治安の良い国ランキング解説記事も参考になります。
治安のいい国に共通する3つの特徴

特徴① 市民の規範意識の高さ — 公共の場でのルールが根付いている
ランキング上位の国に共通する大きな特徴のひとつが、「市民が自発的にルールを守る文化」の定着です。法律で禁止されているからではなく、「他者に迷惑をかけない」「公共の場を大切にする」という意識が生活の中に自然に根付いています。
教育で育まれる他者尊重の文化と自浄作用の仕組み
アイスランド・デンマーク・ニュージーランドなどでは、幼少期からの教育を通じて他者への敬意・コミュニティへの責任感が育まれています。問題が起きたときに社会内部で解決しようとする自浄作用が機能しており、外部から強制しなくても秩序が保たれやすい環境があります。
特徴② 政治と制度に対する信頼の高さ — 透明性と法の下の平等
治安の良い国では、市民が政府・司法・行政を信頼していることが共通しています。制度が公平に運用され、腐敗・汚職が少ない社会では、市民が「法を守れば守られる」という安心感を持てます。
スイス・ノルウェーに見る行政の意思決定プロセスの公開
スイスやノルウェーでは、行政の意思決定プロセスが市民に公開されており、直接民主制的な仕組みで政策への市民参加が実現しています。この透明性が政治への信頼を生み、社会的安定につながっています。
特徴③ 平和を重視する外交姿勢 — 永世中立国と国連への貢献
スイス・オーストリア・アイスランドなど、ランキング上位の国の多くが軍事的中立・非同盟・国際機関への積極的な貢献を外交方針の柱に据えています。
テロ・戦争リスクを下げる中立的な外交政策の効果
特定の軍事同盟に深く関与しない中立的な外交姿勢は、テロの標的になるリスクを下げる効果があると分析されています。国連平和維持活動(PKO)への参加など、平和構築への貢献が国際社会での評価を高め、結果的に自国の安全にも寄与しています。
日本の治安は世界で何位?2025年の評価と背景
日本は前年9位から17位へと大きく順位を落とした理由
GPI2024年版で9位だった日本は、2025年版で17位へと大きく順位を下げました。日本国内の治安が急激に悪化したわけではありませんが、評価項目のうち「軍事化の度合い」と「国際的な紛争リスク」の領域でスコアが変化したことが主な要因とされています。
軍事支出の増加と東アジアの地政学的リスクが評価に影響
日本政府は2022年以降、防衛費の増額方針を明確にしています。GDPに占める軍事支出の増加はGPIの「軍事化」領域の評価に直接影響します。また、東アジアにおける地政学的緊張の高まり——北朝鮮の核・ミサイル問題や台湾海峡情勢なども、近隣国との紛争リスク評価に反映されています。
順位低下は日本国内の治安悪化を意味しないという見方
GPIの評価は国内犯罪だけでなく、軍事・外交・地政学など複合的な要素で決まります。日本の殺人発生率・強盗発生率などの国内犯罪指標は依然として世界最低水準のひとつであり、「17位=日本が危険になった」という意味ではありません。
日本の治安の強みと今後の課題
- 強み:犯罪発生率の低さ・社会インフラの充実・市民の高い規範意識・テロリスクの低さ
- 課題:軍事支出の増加傾向・東アジアの地政学的不安定・自然災害リスク(地震・台風)の高さ
日本の治安に関する詳しい分析は、Elementistの世界平和度指数解説記事も参考にしてみてください。
治安のいい国を旅行先として選ぶための実践ガイド
ポイント① 渡航前に最新の治安情報を必ずチェックする
外務省「海外安全ホームページ」の活用方法と危険レベルの見方
GPIランキングはあくまでも年次評価です。渡航前には必ず外務省「海外安全ホームページ」で最新情報を確認しましょう。危険レベルは4段階で設定されています。
| レベル | 内容 | 対応 |
|---|---|---|
| レベル1 | 十分注意してください | 状況に注意しながら旅行可能 |
| レベル2 | 不要不急の渡航は止めてください | 慎重に判断・準備を徹底 |
| レベル3 | 渡航は止めてください | 特別な理由がない限り渡航しない |
| レベル4 | 退避してください | 直ちに退避・渡航は厳禁 |
ポイント② 滞在エリアは観光中心部を基準に慎重に選ぶ
パリ・ロンドンでも危険なエリアが存在する理由と対策
GPIで上位の国であっても、都市の中に治安が不安定なエリアが存在することがあります。パリやロンドンのような大都市でも、観光中心部から少し外れた郊外・特定の地下鉄沿線などでは注意が必要なケースがあります。
- Googleマップのクチコミや旅行フォーラムで「エリアの評判」を事前確認する
- 宿泊ホテルから主要観光地までの動線を下調べしておく
- 深夜の一人歩き・人気のない路地への入り込みは避ける
ポイント③ ホテル予約時に周辺治安情報・口コミを確認する
ホテルの立地は旅行の安全に直結します。予約の際は料金だけでなく「ホテル周辺の治安」「夜間の安全性」に関するレビューを必ず確認しましょう。
- Booking.comやTripAdvisorの「ロケーション」評価と口コミを参照する
- 「safe area」「safe to walk at night」などの英語キーワードで検索する
- 到着時間が深夜になる場合は、空港から直接ホテルへのタクシー・送迎を事前手配する
海外旅行・留学先の治安に関する総合的な情報は、ネイティブキャンプの海外留学治安情報記事とAmina Flyersの安全な国ランキング解説も参考になります。
治安のいい国ランキング — まとめと旅行先選びのポイント整理
2025年版トップ10を地域別に振り返る
| 順位 | 国名 | 地域 | 旅行者へのポイント |
|---|---|---|---|
| 1位 | アイスランド | 北欧 | 女性一人旅にも安心・自然絶景 |
| 2位 | アイルランド | 西欧 | 英語圏・フレンドリーな国民性 |
| 3位 | オーストリア | 中欧 | 文化・観光・医療体制が充実 |
| 4位 | ニュージーランド | オセアニア | 英語圏・留学先として人気 |
| 5位 | シンガポール | アジア | 初海外旅行に最適・清潔 |
| 6位 | スイス | 中欧 | 永世中立・高い生活水準 |
| 7位 | ポルトガル | 南欧 | 物価安・温暖・人気急上昇 |
| 8位 | デンマーク | 北欧 | 幸福度高・深夜も安全 |
| 9位 | スロベニア | 中欧 | 穴場・テロリスクが極めて低い |
| 10位 | マレーシア | アジア | 英語通用・日本からアクセス良好 |
GPI評価を活用して自分に合った安全な旅行先を選ぶコツ
- 初めての海外旅行なら:英語が通じるシンガポール・ニュージーランド・アイルランドが入りやすい
- ヨーロッパ旅行を考えているなら:アイスランド・オーストリア・スロベニアは治安と観光の両立が◎
- アジア近場で旅行しやすい国なら:シンガポール・マレーシアが利便性と安全性を兼ね備えている
- どの目的地でも共通して:外務省の危険情報・旅行保険加入・現地エリアの事前調査を必ず行う
GPIランキングは「その国が全体として平和かどうか」を示す指標であり、旅行先選びの出発点として非常に有用です。ただしランキング上位の国でも都市・エリア・時期によってリスクは異なります。GPIをひとつの参考指標としながら、外務省の最新情報と現地の口コミを組み合わせて、自分に合った安全な旅行先を選んでみてください。
