「パスポートって赤や青や緑…なんで国によって色が違うの?」と思ったことはありませんか?実はパスポートの色には、その国の歴史・宗教・文化・外交関係が反映されていることが多く、知れば知るほど興味深い世界が広がります。
この記事では、パスポートの色の意味・背景から、日本のパスポート5種類の違い、世界のユニークなデザイン、知って楽しいトリビアまで徹底解説します。海外旅行・留学を考えている方にも役立つ内容です。
パスポートの色はなぜ国によって違うのか?基本をおさえよう

世界のパスポートの色は「赤・青・緑・黒」の4色に大別される
世界200カ国以上のパスポートは、大きく赤・青・緑・黒の4色に分類できます。もちろん各国のパスポートの正確な色はバーガンディ・ネイビー・オリーブグリーンなどさまざまですが、大別するとこの4色に収まります。
パスポートの色に国際的なルールはない — 各国が独自に選ぶ仕組み
実は、パスポートの色を決める国際的なルールや条約は存在しません。各国が独自の判断で色を選んでいます。ただし国際民間航空機関(ICAO)が定めるパスポートの基本仕様(サイズ・機械読み取り可能な情報の形式など)は統一されています。
歴史・宗教・外交・文化が色の選択に影響する理由
パスポートの色は次のような要因によって決まることが多いです。
- 宗教的な象徴色(イスラム教の緑など)
- 地域的な政治的連帯(EU諸国のバーガンディ統一など)
- 国のアイデンティティ・国旗の色
- 歴史的・外交的な慣習
- 地理的な文化圏
パスポートの色①「赤」— 約70カ国が採用する最も歴史的な色

EU加盟国が統一感のためにバーガンディ色を採用した背景
ヨーロッパでは、EU加盟国の多くがバーガンディ(深い赤紫)色のパスポートを採用しています。これはEU統合の象徴として、加盟国同士の視覚的な統一感を出すために採用された背景があります。イギリスは2020年のEU離脱(ブレグジット)後、パスポートの色を青に戻しました。
共産主義・社会主義の歴史とキリスト教文化圏に赤が多い理由
旧ソ連・東欧・中国など共産主義・社会主義の歴史を持つ国でも赤系のパスポートが多く見られます。また、ラテンアメリカなどキリスト教文化圏でも赤が選ばれる傾向があります。
ユーラシア大陸・太平洋側諸国に赤系パスポートが多い地理的傾向
ユーラシア大陸からヨーロッパにかけて、また南米・中米の多くの国で赤系パスポートが採用されており、地理的な帯状の分布が見られます。
赤系パスポートを採用している国の例一覧
| 地域 | 主な採用国 |
|---|---|
| ヨーロッパ(EU) | ドイツ・フランス・スペイン・イタリアなど多数 |
| 東欧・旧ソ連 | ロシア・ポーランド・ハンガリーなど |
| 南米 | ブラジル・コロンビア・チリ・ペルーなど |
| アジア | 中国・韓国など |
パスポートの色②「青」— 約80カ国が採用する世界最多の色

「新世界」「自由市場」「海洋国家」と結びつく青のイメージ
青系パスポートは世界で最も多くの国が採用しており、約80カ国が採用しているとされています。「新世界・自由・民主主義・海洋」などのイメージと結びついていると言われています。
海に面した国・島国に青系パスポートが多い傾向とその例外
アメリカ・オーストラリア・カナダ・多くのカリブ海諸国など、海洋・島国・新大陸の国々に青系パスポートが多く見られます。ただしこれは絶対的な傾向ではなく、地政学的・歴史的な理由で青を採用している内陸国もあります。
アメリカ・オーストラリア・カナダなど青系パスポート採用国の例
| 地域 | 主な採用国 |
|---|---|
| 北米 | アメリカ・カナダ |
| オセアニア | オーストラリア・フィジーなど |
| カリブ海 | バルバドス・ジャマイカなど多数 |
| アジア | 日本(紺)・インドなど |
| 中東 | イスラエルなど |
パスポートの色③「緑」— イスラム教圏と西アフリカに多い色

緑がイスラム教圏で神聖視される理由 — 預言者ムハンマドとの関係
緑はイスラム教において「天国の色・預言者ムハンマドが好んだ色・信仰と生命の象徴」として神聖視されています。そのためモロッコ・パキスタン・サウジアラビア・バングラデシュなどイスラム教国の多くが緑系パスポートを採用しています。
西アフリカ諸国が共通デザインとして緑を採用している背景
西アフリカの地域経済共同体(ECOWAS)加盟国は、地域統合の象徴として緑系のパスポートデザインを共通採用しています。ナイジェリア・ガーナ・セネガルなどが該当します。
アルジェリア・パキスタン・ナイジェリアなど緑系パスポート採用国の例
| 地域 | 主な採用国 |
|---|---|
| 中東・北アフリカ | モロッコ・アルジェリア・サウジアラビアなど |
| 南アジア | パキスタン・バングラデシュなど |
| 西アフリカ | ナイジェリア・ガーナ・セネガルなど |
パスポートの色④「黒」— 約5カ国のみが採用する最も珍しい色

黒が選ばれる理由 — フォーマル・権威・耐久性・国のアイデンティティ
黒系パスポートは世界で最も少ない国が採用しており、フォーマル・権威・格式・国のアイデンティティなどの意味合いで選ばれることが多いとされています。また黒は汚れが目立ちにくく実用的という理由もあります。
ニュージーランドが国の代表カラーとして黒を採用した理由
ニュージーランドは国の代表カラーとして黒を採用しており、ラグビー代表チーム「オールブラックス」に代表されるように黒はニュージーランドのアイデンティティと深く結びついています。パスポートもこの国家カラーを反映しています。
黒系パスポートを採用している国の例一覧
| 国 | 黒を採用する主な理由 |
|---|---|
| ニュージーランド | 国の代表カラーとしての黒(オールブラックス) |
| ザンビア | 国旗の色との関連 |
| アンゴラ | 国のアイデンティティ |
| ボツワナ | 国旗・文化との関連 |
日本のパスポートの色は5種類ある — それぞれの違いを解説
日本のパスポートには5種類あり、色・目的・発給対象がそれぞれ異なります。
赤(10年用一般旅券)— 18歳以上が選べる最も一般的なパスポート
日本で最もよく見かける赤みがかった紺色のパスポートが、10年用一般旅券です。18歳以上であれば申請でき、海外旅行・留学・ビジネス渡航など一般的な目的に使われます。有効期間は10年で、費用は16,000円です。
注意:パスポートの費用・申請要件は変更される可能性があります。最新情報は外務省の公式サイトをご確認ください。
紺(5年用一般旅券)— 18歳未満は紺のみ申請可能な理由
紺色の5年用一般旅券は、18歳未満の方が申請できる唯一の一般旅券です。未成年の場合は顔の変化が大きいため、有効期間が5年に限定されています。18歳以上でも5年用(紺色)を選ぶことができます。費用は11,000円です(12歳未満は6,000円)。
成人でも5年用を選べるケースと紺パスポートの特徴
「すぐに使いたいが長期は不要」「コストを抑えたい」など、成人が5年用を選ぶケースも珍しくありません。また、顔写真の変化が予測される場合にも5年用が選ばれることがあります。
緑(公用旅券)— 国会議員・国家公務員の公務渡航に使われる特別旅券
緑色の公用旅券(Official Passport)は、国会議員・国家公務員が公務として海外渡航する際に使用する特別なパスポートです。一般の方は申請できません。入国審査において公務目的であることが示され、一部の国ではビザ免除など特別な取り扱いを受けることがあります。
濃茶(外交旅券)— 皇族・閣僚・大使が使うDIPLOMATIC PASSPORT
濃茶色の外交旅券(Diplomatic Passport)は、皇族・国務大臣・外交官・大使など限られた人物のみが所持できる最も格式の高いパスポートです。表紙に「DIPLOMATIC PASSPORT」と記載されており、多くの国で外交特権に基づく特別な取り扱いを受けます。
薄茶(緊急旅券)— 紛失・盗難時の緊急対応として発給される旅券
薄茶色の緊急旅券は、海外旅行中にパスポートを紛失・盗難にあった際に、帰国するために緊急発給される旅券です。通常のパスポートより簡易的な作りで、原則として1回の帰国旅行のみに使用されます。
世界のユニークなパスポートデザイン2選
フィンランド — パラパラめくるとヘラジカが歩くアニメーション仕掛け
フィンランドのパスポートには、各ページにヘラジカ(ムース)が描かれており、パラパラとページをめくるとヘラジカが歩いているように見えるアニメーションが仕掛けられています。遊び心のあるデザインとして世界中で話題になりました。
遊び心と偽造防止セキュリティを兼ねたフィンランドのデザイン技術
この仕掛けは単なる遊び心だけではなく、高度な印刷技術と偽造防止セキュリティが組み合わさった機能的デザインでもあります。各ページが微妙に異なる印刷でなければアニメーションは成立しないため、精巧な偽造が非常に困難になっています。
カナダ — UVライトで花火・星空・メープルリーフが浮かび上がる旅券
カナダのパスポートは通常の状態では自然の風景が描かれていますが、UVライト(紫外線ライト)を当てると、花火・星空・オーロラ・メープルリーフなどの幻想的なデザインが浮かび上がる仕組みになっています。
2023年新デザインで四季・自然美と先進セキュリティを融合させたカナダの旅券
2023年に更新されたカナダの新パスポートは、四季折々のカナダの自然美を美しいビジュアルで表現しながら、UV蛍光インクを使った高度な偽造防止技術を組み込んだ先進的なデザインです。
知って楽しいパスポートのトリビア
ラムセス2世のミイラに発行されたパスポート — 職業欄は「ファラオ」
1974年、古代エジプトのファラオ・ラムセス2世のミイラが修復のためにフランスへ輸送される際、エジプト当局はミイラに正式なパスポートを発行しました。職業欄には「国王(元)(King, deceased)」に相当する記載がされたとされており、古代の王も現代のパスポートシステムに「通過」するというユーモラスな出来事として世界で話題になりました。
世界の入国スタンプに映る各国の文化とユーモア
入国スタンプは各国の個性が凝縮された小さなアートです。
パラオ・ハワイ・グアテマラのスタンプに込められたデザインの意味
- パラオ:カラフルな熱帯魚・ダイビングをイメージしたデザイン
- グアテマラ:マヤ文明の遺跡・ケツァール(国鳥)が描かれたスタンプ
- 南極条約加盟地域:ペンギンのスタンプが押される特別な「旅」の記念
日本初のパスポートは1866年に手品師に発行された
日本初のパスポートは1866年(慶応2年)に、手品師(奇術師)の浜野矩随に発行されたとされています。当時は写真技術が普及しておらず、本人確認は「人相書き(顔の特徴の文章描写)」によって行われていました。
写真なし・人相で本人確認をしていた当時のパスポート事情
明治初期のパスポートには、目の色・眉の形・鼻の高さ・顔の輪郭などを文章で記述した「人相欄」が設けられており、入国審査官が目視で確認していました。現代のICチップ・生体認証とは隔世の感があります。
現代の日本パスポートに込められた偽造防止技術と北斎デザイン
2020年に刷新された日本の新パスポートには、葛飾北斎の「富嶽三十六景」が見開きページに描かれた美しいデザインが採用されています。
1360個の隠しロゴ・UVライトの仕掛け・冨嶽三十六景の見開きデザイン
- 各ページに微小な「JAPAN」の文字が1360個以上隠されている
- UVライトを当てると桜の花びらなどが浮かび上がる仕掛け
- 見開き2ページにわたる富嶽三十六景の壮大なデザイン
- 高精細なホログラム・特殊インクによる最高水準の偽造防止技術
2025年パスポート自由度ランキング — 日本は世界第2位(190カ国ビザなし)
ヘンリー・パスポート・インデックスなどのランキングによると、日本のパスポートは世界トップクラスの「パスポートパワー」を誇ります。約190カ国にビザなしまたは到着ビザで入国できる強力なパスポートです。
注意:ランキングの順位・ビザなし渡航可能国数は定期的に更新されます。最新情報は公式ランキングサイトをご確認ください。
日本のパスポート保有率がわずか17%にとどまっている理由
世界最強クラスのパスポートを持ちながら、日本のパスポート保有率は約17%前後と低い水準にとどまっています。主な理由として「国内旅行で満足できる観光地が多い」「英語への苦手意識」「費用と手続きのハードル感」などが挙げられています。
海外旅行で役立つパスポートの安全な管理方法
パスポートケースの選び方 — RFIDブロック機能付きで電子スキミングを防ぐ
現代のICパスポートには電子チップが内蔵されており、スキミング(電子的な情報盗取)のリスクがあります。RFIDブロック機能付きのパスポートケースを使うことで、このリスクを大幅に軽減できます。
バッグの選び方 — クロスボディ・前掛けウエストポーチが安全な理由
海外でのパスポート管理には、体の前面に装着するクロスボディバッグや前掛けのウエストポーチが推奨されます。後ろに回すバックパックやリュックのポケットはスリの標的になりやすいため避けましょう。
地域別のパスポート管理の工夫 — アジア・ヨーロッパ・オセアニア
- アジア(東南アジアなど):ホテルのセーフティボックス活用・コピーを常に携行
- ヨーロッパ(スリが多い主要都市):人混みでは胸ポケット・ネックポーチに収納
- オセアニア(比較的治安が良い):ホテル保管でも問題ないケースが多いが、コピーは常に持参
パスポートの詳しい申請方法や海外旅行の準備についてはネイティブキャンプのパスポート解説やNewtのパスポート解説も参考になります。
まとめ:パスポートの色の意味・日本の5種類・世界の特徴を総整理
赤・青・緑・黒それぞれの背景と主な採用国を振り返る
| 色 | 採用国数の目安 | 主な背景 | 代表的な採用国 |
|---|---|---|---|
| 赤 | 約70カ国 | EU統一・共産主義・キリスト教圏 | EU諸国・ロシア・ブラジル |
| 青 | 約80カ国 | 自由・民主主義・海洋国家 | アメリカ・カナダ・オーストラリア |
| 緑 | 約50カ国 | イスラム教・西アフリカ連帯 | パキスタン・モロッコ・ナイジェリア |
| 黒 | 約5カ国 | 国家アイデンティティ・格式 | ニュージーランド・ザンビア |
旅行・留学前に知っておきたいパスポートの基礎知識
パスポートは「世界で最も重要な身分証明書」です。色の違いを知ることで、世界の文化・歴史・地政学への理解が深まります。
- 初めてのパスポート申請:用途・年齢に応じて赤(10年)か紺(5年)かを選ぶ
- 海外旅行の準備:有効期限の残存期間(多くの国で6カ月以上必要)を必ず確認する
- 英語学習への活用:各国のパスポートデザインを英語で調べることで、国際理解と語彙力が同時に深まる
英語表現や国際文化に関するさらに多くの解説記事は、fiiney to 英語でもご紹介しています。
