Hi! 絵本を使った英語学習をメインに書いています。
教室でどんな英語の絵本をどう使っているかご興味のある方へ。実践的な使い方をご紹介します。
少し文が読めるようになった子供達が、次のステップに上がるための読み方です。
・どこに視点を置いて読むのか
・単語を定着させるための活動
・理解度を確認する質問
・発音を整える読み方
など、お母さま方にも参考になれば嬉しいです。
英語を学んでいて、いちばん楽しいのがこの時期ですね!
今日は「ある程度英語が読めるようになった小学生」向けの、私のクラスでの英語絵本の使い方です。
小学生に英語絵本を使う目的
少し読めるようになったら、目的を持って読んでいきましょう。
うちでは学習の補助としての絵本を、こんなふうに考えて本を選んで、使うように心がけています。
・大きな目的を忘れない
・目的別に絵本を選ぶ
・各絵本の小さな目的を確認
・次回の使い方を視野に入れる
大きな目的を忘れないようにする
週に一度のお教室や、忙しいおウチ英語では英語漬けにはできない。できる範囲で取り組んで到達したい目的を決めておくのは、大切なことですね。
うちの大きな目的は
英語の得意な子にする
基本的に英語をバリバリに使いこなしていくのは大人になってから、としています。
そうなることを夢見て、時間を遡っていくと
大学生 英検準1~1級
高校生 英検2級
中学生 英検3~準2級
小学生 英検4級までを使いこなす
小学生や中学の早い時期に、英検3級程度の英語を使いこなせると「かなりすごい」ことです。
英検4級なんて遅いのではないか、と思われるかもしれませんが、
三単現を始め、いろいろな主語での現在形、進行形、過去形、不定詞、動名詞を操って喋るのは、小学生では高レベルだと思います。
それでは「英語の得意な子」にするための作戦のひとつ「絵本」の使い方。
読めるようになったら目的別に本を使う
時々本も読む程度という場合はその時間を大切に、目的を持って読みます。
参考までにうちでよく設定する「目的」と、そのためにどんな本を選んでいるかをご紹介します。
( 数が多いので全ての本を紹介できないのが残念です。「絵本で英語れんしゅう」の記事を書いていますので、いつか参考までにご覧くださいませ。)
単語を増やすための本と使い方
単語量を増やしたい、なら多くの絵本があてはまります。
曜日、食べ物などを網羅する ” Very Hungry Caterpillar ” を筆頭に、
Spot シリーズ、” Goodnight Moon ” など単語がメインの本もあります。
少し読めるようになっているお子さんなら、名詞以外の単語も見ていきます。
<形容詞や副詞に着目して読む>
同じ絵本でも違う角度から楽しめます。登場人物がどんな風に歩いている、などの視点です。
例えば
「FROGGY GETS DREESED」では
「楽しそうに」「ガックリと」などの副詞を導入できます。
happly, sadly, cheerfully, などのカードを作り、表情豊かなフロッギーの該当する場所に貼ってみる。その単語を使って文を作ってみる、などの活動に広げます。
「はらぺこあおむし」なら食べ物を
「甘い」「すっぱい」「しょっぱい」
「カリっとしている」「ジューシー」
など味を表す形容詞で分けてみるのも楽しいでしょう。
( 順に、sweet, sour, salty, crispy, juicy )
参考にこんな記事もあります。↓↓
チャートを作成し「Show and Tell 」の発表に発展させるのもいいですね。
・自分が伝えたい単語
・自分で調べた単語
これは子供は忘れないように見えます。
本に出てくる単語だけでなく、レベルや興味に合わせて広げてみると単語数が増えます。
* 他に形容詞を練習するこんな記事もあります↓↓
< 単語数が多めの本を読む >
お勧めは、Richard Scarry と Dr. Seussもの。英語歴3年くらいの、英検5~4級レベルに合います。
Richard Scarry / The Best Mistake Ever! には名詞が豊富に出てきます。
( 買い物、学校生活など )
たくさん質問して、名詞、動詞、記憶モレのないようにしましょう。
<単語を確認する質問>
What can you see in this page?
What doe she have in her hand?
What is he doing?
How does she feel?
→ She is angry. Why?
どの本でも共通に、読んだ後に子ども達がその単語を使えるように練習するといいでね。
使ってみることで、知っている単語はより深く、初めて見る単語もしっかりと、理解できるようになります。
読解・文法力強化に向く本と使い方
文法と読解は後々まで役に立つ大切な要素です。読めるようになったら、ぜひ内容に踏み込んでいきましょう。どの絵本でもできますが、
おすすめなのは “ ORT ” と ” Dolphin Readers “
どちらも Graded Reader なのでレベルに合わせて読めることと、理解度をはかる問題があります。問題作りに慣れていなかった頃は、これらの問いが良い参考になりました。
<ORT >
巻末にこのような問いかけがあって、話し合えるようになっています。
Look at Floppy on page7. Ask : “Why is Floppy barking at the children?”
At the end of the story, ask: ” What happend to Floppy and the children?”
— The Rope Swing. ORT より
基本の答えはありますが、それだけを押し付けるのではなく、子供が注目していることをくみ取って、簡単な文にするといいです。
* Oxford Reading Tree のレベルについての記事がありますので、最後に貼り付けます。
<Dolphin Readers>
Oxford 出版の、学習用リーダーシリーズです。割と安くて、一冊から購入できるので、好きな雰囲気のものを選んでいます。
左ページがストーリー、右ページに問題の構成。各本には別冊で Activity Book もあります。とにかく問題が多く用意されているので、こちらが楽。
読んで解く問題なので、子供たちにとっても達成感があるのでしょう。楽しく取り組むことができます。
参考までに、Activity Book レベル 2 の問題
” It’s nearly time for ( ).
– Oxford , Dolphin Readers, Level two
” Candy for Breakfast ” Activity Bookより
* この答えは ” school ” 。学校の時間が迫っているのに、まだパジャマで朝ごはんも食べていない、という設定なのです。
「ORT」や 「 Dolphin Readers 」の本は一冊のストーリーが短いのでリテールしやすいところがポイントです。
覚えていられないような複雑な話ではありませんから、質問に対する答えはすぐに分かるのです。あとは子供が文法を操って答えの文を作るように励ましていけばいいですね。
上の “ It’s nearly time for school. ” の文も、
It’s nearly time for go to school. では間違いですね。
子供たちは「学校に行く時間」と考えがちなので、こういう間違えも起きます。
「for の後は名詞」というような文法を、作文することで確認できます。
もちろん Graded Readers ではない、「絵本」もいいですね。
The Gruffalo
If you give a mouse a cookie
などストーリーのはっきりしたものは、子供にもリテイルしやすいです。
* If you give a mouse a cookie の文も例で使った「if と when の違い」の記事もあります。↓↓
<Frog andToad シリーズ>
Arnold Lobel のこのシリーズは、ストーリーがはっきりしていて、ちょうど4級終わったレベル。文法のおさらいを兼ねて楽しく読めます。
skip thorugh スキップして通り抜ける
tore off ちぎり破った
など、生活に直結する語や言いまわしは、日本語から英語にできるくらい練習してもいいところでしょう。
一ヶ月くらい後に「今日のワンフレーズ」と言って問題にしたりね。
子供たちは「初めて聞いた」と言い張りますが、中に「あれ、どっかの本で読んだような…えーと、ガマくんの話じゃなかった?」と思い出す子も出ます。
Frog and Toad の絵本で、子供が使える不定詞を練習する記事もあります。↓↓
別の機会に何度も見ることで、テキストに出てこない単語も定着していきます。
読解力、文法力をつけるための読後のポイントです。
<読後に話すポイント>
抑えるのは 5W1H
誰が、どこで、
どうやって、何して
どうなって(何があって)
最後にどうなったか
first, and then, next, at the end
when ( ○○が~ときに )
これらを使って話しています。
*Finally, At last, は、苦労した末の「最後に」という意味合いを含みます。
at the end と使い分けていきましょう。
発音、リズム調整に向く本と使い方
文法や単語に注意を向けていると発音がおろそかになっていることがあります。
子供は本を読むとき文字を追うので、全ての語の発音がしっかりしていないと全体的に自然な流れになりません。
英検用に一度にたくさんの語を覚えた後などになりがちです。
そういう時には CD付きの絵本が便利です。
CD付きの絵本は発音を定着させるために作られています。耳で聞きながら、目を文に集中させることができるところがいいですね。
発音やリズムを整えるためにうちで使っている本と使い方です。
・ CTPの絵本。
CTP Read Along は全レベルにカテゴリーがあって、好きなタイプの本を選べます。
ゆっくり読み、自然なスピード、リズムつきのパターンが収録されていて、発音はナチュラルなアメリカ英語。
( 使い方 )
カタカナ読みになっていないか自分で気づけるように、文が短めの本で朗読を録音してみます。
チェックポイントは次の二つ。簡単な文ほど、音が正しいと美しく聞こえます。
・単語
Butterfly ( ちょうちょ )など、カタカナになっている語のチェック
英語の音として発しているか確認します。
・全体のリズム
区切る場所、高低のリズムなどが正しいかをチェック
うちではレベル 1~2くらいを低学年で使っていますが、大きくなっても時々聞いて、自然な発音を確認します。
このシリーズのCD は発音がくっきりしているので、音の出し方の強弱まで聞こえます。
単語の音の雰囲気など、口で説明しきれない部分も、繰り返し真似することで習得できます。
CTP の本で少し疑問詞の少し難しい文を練習する記事もあります。↓↓
・CDつきの楽しい絵本
Walking Through The Jungle
リズムが楽しくておすすめです。子供が言える速さと楽しさで、うちでは一番人気。幼児から三年生くらいまで使っています。
完了形が出てくるので高学年になってまた引っ張り出しますが、大喜びされます。
( * 扱った記事がありますので、下に貼ります。)
絵本には通常CD はついていないものですが、学習用についているものもあります。心強いですね。子供は楽しい音が好きですもの。
「通じる英語はリズムから」I like coffee , I like tea
松香フォニックスの、チャンツが詰まった本で、音源の質がいいので高学年にも耐えるます。音の矯正にはもってこいの本です。
** 私は実をいうと、発音を英語らしく完璧にしなくては、とは思っていません。通じればいいのだと思うのです。
しかし英語の音を学んでおくことは決して悪いことではない。綺麗にリズムよく発音できると子供たちもうれしそうです。
その自信が後の「英語を学び続ける」モチベーションの1つになるかもしれない。
それなら時間のたっぷりある子供のうちに音に慣れておいたらいい、そう考えています。
小学生のための難易度の高い英語絵本の使い方
長い文の本にも挑戦したい。でもいきなりでは小学生には無理がある。そういうときには全部ではなく、部分的に読むという方法を取っています。
難しい本を小さな目的を持って読む
「わかるかも」「知っているかも」という気持ちは、難易度の高い本に臨むときの大きな支えになります。
ということで、学んだ文法で理解できる箇所を探して取り出して使うこともあります。
「分詞」を読み取ろう、とか
Although の使い方を見てみよう、とか
小さな目的を持って読むのです。
長めでも子供に人気なのが
Curious George シリーズ!
大人も好きですね。
小学生で読める箇所もたくさんあります。
例えば
When the mayor finished, the man with the yellow hat said, ” George, I’m going to buy our tickets. Please wait here and don’t be too curious.”
— Curious Geroge Makes Pancakes MARGARET & H.A. REY’S
” mayor ” さえわかれば4級レベルで意味がとれます。
「~するつもり」の” be going to ” や命令形を学んでいる時には、絶好の文です。一緒に our や「~すぎる」の too の使い方を掘り下げてもいいでしょう。
今は全部読めない、でも来年には読めるかもしれない。それでいいと思って取り組んでいます。
次はどこを読もう、どの切り口でいこうか、そんなことを考えるのも楽しいです。
Harry Potter シリーズが読めるかもよ!というと、「えー、そんなん無理でしょー」と笑うけれど、実際 ( ほんの短い部分を ) 拡大コピーしてみると読めるものです。
ハリポタが読めた!なんて、子ども達は嬉しそうです。
絵本ならではの臨場感をもって楽しむ
ある程度ボリュームのある本は、その世界観を楽しむこともできます。注目して取り上げる部分は小さくても、その本の持つ雰囲気は楽しめます。
以前「比較」を学んでいるときに「人魚姫」( Jリサーチ出版 / CD付き ) を読みました。
取り上げたのは冒頭部分。
youngest daughter, greatest wish,
the most beautiful of all , など。
CDのとおりに臨場感を出して読むことで、最上級の雰囲気を出します。
単語に関しても
suddenly, (突然に) huge, ( 巨大な )
decided, ( 決心した ) などなど、学校や英検の頻出語が目白押し。
このような単語や文法を使った文を、ワクワクするような場面で読むことができるのは絵本のいいところですね。
CD付きならなおさらです。場面と声の雰囲気を感じてほしいと思って使っています。
まとめ : 英語絵本が読めるようになった子ども達へ
文が読めるようになってきたら
「英語が得意な子にする」
という大きな目的に向かって
単語、文法、音を意識するぞという小さな目標をもって読み進み
難しい本も視野にいれていく。
こんなふうにしています。
ああ!言い忘れていた…
楽しいだけの本も読んでいます。私が大好きなのでね。
面白味のある本や内容のある本が読めると、子ども達も嬉しそうです。
少しくらい難しくても読み進め、おおまかに意味を取っていく、という読み方は長文を読む練習にもなります。
英語が得意!という気持ちに拍車がかかることでしょう。
小さなクラスの話でしたが参考になったらいいな。みなさんはどんな目標を持って絵本を取り入れていますか。
それではまた!
読んでくださって本当にありがとうございます。
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